国家(上) - プラトン ★★★★☆
世界で最も有名な哲学書の一つ。小難しい用語がいっぱいの本と思い、今まで読むのを避けていましたが、全て対話により話が進んでいき、口語口調なので大変読みやすいです。哲学書の入門に最適なのではと思います。
内容はどういう国家が良い国家なのか、ソクラテス vs 友人で議論していくといったものです。上巻では最終的にいわゆる近代の社会主義に近いような国家が理想だという結論に至ります。個人の快楽や富は追及せず、国家全体の反映を考えようといったものです。おどろいたことに国の為政者は家庭や財産も一切持つべきではないということまで言っています。ただ資本主義の問題点が浮き彫りになってきた今日この頃、この本の意見には概ね賛成というのが個人的見解です。(そもそも奴隷制を認めている、キリシア人以外の人間は敵という考えが前提にあるので、この部分は当然反対ですが)
現代においてもこの本と同じ社会的問題点は多数あり、とても2500年近く前に書かれたものとは思えません。
上巻で理想の国家がどういうものか、ほぼ言い尽くされた感があるのですが、まだ半分下巻が残っています。ここからどう話が展開していくのかとても楽しみです。
国家〈上〉 (岩波文庫)
posted with amazlet at 09.08.09