複雑系―科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち ★★★★

以前から気になっていたので読んでみました。内容は以下のキーワードから想像して下さい。
・収束逓増
・自己組織化
・人工生命
創発
・進化
相転移
って良く分かりませんよね(笑)
ただ実際にある意味非常に分かりにくい本です。経済学、物理学、生物学、コンピュータサイエンスなど既存の学問を、複雑性という観点から、切り込んでいく内容となっています。
いわゆる科学ドキュメンタリーの構成をとっており、ノーベル賞クラスの経済学者・物理学者から、ちょっと変わった大学院生まで複雑系に惹かれた優秀な研究者が、サンタフェ研究所に集い、互いに意見を交わし、どんどんアイデアを発展させていくといったものです。ただ、後半は似たような考えや概念が多くなり、ちょっと冗長な感じがします。そして専門的な話や観念的な話が多くなって難しい。。全体としてやや長かったので、後半1/3ぐらい削った方が良かったかなと思います。
とはいえ、前半はサイモン・シンの「フェルマーの最終定理」を思わす面白さです。登場する学者達は、秩序とカオスの中間地点(一見ランダムなようで実はある程度規則性がある)を「カオスの淵」と呼び、実世界はまさにカオスの淵にあると主張しています。
株価・生物の進化・生命の誕生・人間の心理などは均衡状態にあるきれいなものではなく、ダイナミックで単純な数式では表せないものであり、そもそもこの宇宙がそのように出来ている、と彼らは睨んでいます。後半は、少し哲学的な内容になっていきます。脱構造主義エコロジーなどが好きな方もきっと楽しめると思います。

複雑系―科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち (新潮文庫)
M.ミッチェル ワールドロップ Mitchell M. Waldrop 田中 三彦 遠山 峻征
新潮社
売り上げランキング: 91759
おすすめ度の平均: 4.5
5 実は、現代科学が明確に言及できる領域は、一般の方が思うよりずっと狭いのである。他の科学は?ずっとずっと狭いんです。
5 近年の脳科学にも通じる「複雑系とはなにものか」を知るには最適の1冊。
4 はじまりは期待されていなかった
4 History of Sciences of Complexity
3 当時は感心したが...